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2024年11月

1. 住宅における地震火災対策について -総務省消防庁

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総務省消防庁 予防課

1. 地震火災とは

 1923年の関東大震災では、かまどや七輪等からの出火、1964年の新潟地震では、ガス・石油機器関係からの出火が多く見られるなど、生活様式・形態の変化により、その出火原因も変化しています。
 近年の大規模地震においては、電気に起因する火災が多く見られるところです。


2. 地震火災対策の推進

  令和6年能登半島地震においては、石川県輪島市で大規模な火災が発生しました。消防庁で行った火災原因調査において、出火原因は特定されませんでしたが、電気に起因した火災である可能性があります。本火災を受け、「輪島市大規模火災を踏まえた消防防災対策のあり方に関する検討会報告書」がまとめられるとともに、地震火災対策の推進について消防庁から通知したところです。(下記参照)

ア 地域における火災予防の推進

  • ○ 家具転倒防止対策、耐震自動消火装置の付いた火気設備、住宅用火災警報器や防炎品、住宅用消火器等の普及を推進すること。
  • ○ まちぐるみでの消火器等を用いた初期消火や飛び火警戒の訓練、シミュレーションやDIG(Disaster Imagination Game,災害図上訓練)を用いた防災訓練など、地域における防災教育を通じ、住民の防災意識の向上を図ること。
     なお、実災害時において、初期消火や飛び火警戒を実施する際は、建物倒壊や火災の延焼拡大、津波浸水等により逃げ遅れることがないように、安全に留意し可能な範囲で対応するよう訓練時等に指導すること。

イ 大規模地震時の電気火災対策

  • ○ 近年の大規模地震においては、電気に起因する火災が多く発生していることから、地震時の電気火災リスクを低減するため、感震ブレーカー等の普及を積極的に推進すること。
  • ○ これに当たり、防災基本計画(令和6年6月28日修正)において感震ブレーカーの普及が位置付けられたことを踏まえ、地域防災計画の見直しを実施すること。
     また、当該取組の実効性を確保するため、木造密集市街地や津波浸水想定区域等の火災・延焼危険性が高い地域をはじめとして感震ブレーカー等の普及に向けた具体的な計画を策定(普及率の目標値、スケジュール、設置の支援等)することが重要であること。
     なお、各地域における取組を促進するため、感震ブレーカー等について実態把握を行った上で、消防庁においてモデル計画を策定し、別途通知する予定であることを申し添える。

3. 地震火災を防ぐための対策

地震火災を防ぐための主な出火防止対策について地震前後の時系列に応じて紹介します。

    ①事前の対策(日頃の備え)

  • ○ 感震ブレーカーを設置すること
  • ○ 住まいの耐震性を確保すること
  • ○ 家具等の転倒防止対策(固定)を行うこと
  • ○ ストーブ等の暖房機器の周辺は整理整頓し、可燃物を近くに置かないこと
  • ○ 安全装置の付いた燃焼機器・家電製品等を使用すること
  • ○ 住宅用分電盤の機能充実(漏電ブレーカー、コード短絡保護機能等)

  • ②停電時・避難時の対策(地震直後の対応)

  • ○ 停電中は家電製品のスイッチを切り、電源プラグをコンセントから抜くこと
  • ○ 停電中に自宅から離れる(避難する)際は、ブレーカーを落とすこと

  • ③停電からの復旧(再通電)時の対策

  • ○ 家電製品、配線やコードに破損・損傷はないか、燃えやすいものが近くにないかなどの安全を確認してから家電製品を使用すること
  • ○ 壁内配線の損傷や家電製品の故障等により、再通電後、しばらく経ってから火災になることがあるため、再通電後は余震に注意しつつ、家の中に留まり、煙の発生や異臭などの異常を発見した際は、直ちにブレーカーを落とし、消防機関に連絡すること
     また、その他の対策(火災の早期覚知、初期消火)として以下のものがあります。
  • ○ 住宅用火災警報器を設置すること
  • ○ 住宅向けの消火器・消火用具(エアゾール式簡易消火具)を設置すること

4. まとめ

 阪神・淡路大震災における初期消火の実施率は全体の約半数、そのうち初期消火に成功したのは約4割となっています。初期消火の方法別に見ると、消火器による初期消火が最も成功率が高く、成功率は5割となっています。もし仮に、消火器により初期消火が100%実施された場合、単純計算で出火件数は半減し、被害を大幅に減少させることができます。
 内閣府の試算によると首都直下地震による焼失棟数は、電気火災対策が講じられた場合は1/2に、さらに初期消火成功率が向上することで、1/20程度まで減少させることができるとされています。
 消防庁では、毎年、春と秋の全国火災予防運動を通じ、「地震火災を防ぐポイント」等を活用し周知を図っており、今後も、火災予防に取り組み、地震時の火災被害の軽減に取り組んで参ります。




(総務省消防庁「消防の動き」2024年10月号より)

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