「総務省組織令の⼀部を改正する政令」(平成17年政令第280号)及び「総務省組織規則の⼀部を改正する省令」(平成17年政令第134号)が平成17年8⽉15⽇付で公布・施⾏されました。消防庁に新たに「国⺠保護・防災部」が設置され、組織体制の充実強化が図られました。
1 国⺠保護・防災部の設置の目的
平成16年4⽉施⾏の消防組織法の⼀部改正により、緊急消防援助隊に係る消防庁⻑官の指⽰権が創設されたことにより、緊急消防援助隊の全国的な運⽤調整を⾏う責務が消防庁に⽣じることになります。
また、国⺠保護法の施⾏により、消防庁が新たに法運⽤上の基幹的な役割を果たすこととなり、警報伝達や避難指⽰、安否情報の収集・提供など、法の実効性を⾼めるための運⽤⾯での責任が⽣じ、消防庁は旧来からの「政策庁」から、「危機管理」・「治安」に対する「政策・実施庁」への変⾰が求められています。
特に、重要案件において的確に対応し、より明確な責任体制を確⽴する必要性があります。従来の体制では⼤規模災害時に幹部が現地派遣要員等として不在となるため、意思決定や業務の遂⾏に重⼤な滞りが⽣じることも考えられます。そのため、災害発⽣時に万全な応急体制を確保すること等を目的として、平時から不断なる責任体制の整備・強化を図るため、消防庁は新たに国⺠保護・防災部を設置することとなりました。
国⺠保護・防災部は、⼤規模地震対策、消防防災の情報通信システム、消防応援・⽀援、テロ対策、国⺠保護の企画・運⽤等の緊急対応や地⽅公共団体との連絡調整等の各業務を統括することになります。
これにより担当業務の専門性の確⽴、責任体制の明確化が図られるとともに、所掌事務の重要案件について、的確な判断と迅速な決断を⾏うことが可能となります。
2 国⺠保護・防災部設置に伴う組織改正
新設された国⺠保護・防災部には、防災課及び従来の防災課の課内室(特殊災害室を除く。)を設置し、従来総務課の課内室であった国⺠保護室・国⺠保護運⽤室が設置されます。
国⺠保護・防災事務に係る緊急対応や都道府県・市町村との連絡調整等の業務については、国⺠保護・防災部において、明確な責任体制の下、⼀元的に実施することとなります。
また、従来消防課において所掌していた消防団業務については、防災課に移管することとなり、消防団業務と⾃主防災組織の関係業務を⼀体的に担うことにより、地域防災⼒の強化が図られます。
なお、従来の震災等応急室については、全ての災害・事故等の緊急事態発⽣時における情報集約等の初動対応を担当することとなるため、その名称を「応急対策室」に変更されるとともに、従来の救急救助課が所掌していた航空業務についても、新たに応急対策室において所掌することとなりました。
予防課につきましては、防⽕安全室の業務を統合し、従来救急救助課に設置されていた特殊災害室を、原⼦⼒災害業務を除いた形で新たに予防課の課内室として設置されます(原⼦⼒災害業務については防災課において所掌)。
従来の消防課について、新たに「消防・救急課」に改組し、従来救急救助課が所掌していた救急業務につきましては、救急需要の急増等を背景とする救急業務の⾼度化、医療機関との⼀層の連携強化等⼭積みする課題に専門的に対応する部門として、新たに設置する「救急企画室」において所掌することとなります。
また、⽇々、変化の多い消防防災の⾏政課題に柔軟に対処し、災害時における応急対応に関して効果的な対策をとる必要性から、国⺠保護・防災部に新たに応急対策担当の「参事官」を設置し、主として救助・国際緊急援助隊・国際協⼒に関する企画⽴案・運⽤等を担当するほか、特命事項として、災害時における消防の応援・緊急消防援助隊、消防防災の情報システム、救助等に関して、緊急対応等の調整に関すること、平時からの緊急対応に関する企画⽴案・運⽤に関すること等について、処理にあたることとなります。
さらに、災害発⽣時における財政⽀援措置等、平時からの財政⽀援措置等に係る緊急対応に関する企画⽴案・運⽤、また、災害発⽣時における情報通信システム等の確保、平時からの情報通信システム等に係る緊急対応に関する企画⽴案・運⽤等を所掌させるため、充て職の参事官2名が配置されます(⾃治財政局財政課⻑、総合通信基盤局基幹通信課⻑がそれぞれ併任)。
「国⺠保護・防災部」は消防庁において、初めて設置された部であり、⼤規模災害が頻発する現在、消防庁のより⼀層の体制強化は不可⽋であり、国⺠の安⼼・安全を確保するための精⼒的な活動が期待されております。
総務省消防庁の組織改正について