平成20年の新春を迎えるに当たり、全国の消防関係者の皆様に謹んで年頭のごあいさつを申し上げますとともに、昼夜を問わず消防防災活動に御尽力いただいていることに対して心から敬意を表し、深く感謝申し上げます。
我が国の消防は、昭和23年3月7日に消防組織法が施行され、市町村消防の原則に基づく自治体消防として発足して以来、間もなく60周年を迎えます。この間、関係各位のたゆまぬ御尽力の積み重ねにより、制度、体制、技術等各般にわたり着実な発展を遂げ、国際的にみましても高い水準を有しており、国民の安心・安全の確保に大きな役割を果たしております。
しかし、災害列島ともいわれます我が国においては、地震や台風による集中豪雨等の自然災害によって、毎年のように各地に大きな被害がもたらされていますし、火災や危険物による大規模な事故等も後を絶ちません。昨年の能登半島地震や新潟県中越沖地震は記憶に新しいところであり、全国どこでも大規模地震が発生する可能性を有しております。また、東海地震、東南海・南海地震、首都直下地震等の切迫性が指摘され、国際的な緊張が高まる中でテロ災害の発生も懸念されているところです。
このような中、大規模災害や事故、テロ災害等に揺るがない社会を構築し、国民の安心・安全を維持向上させていくためには、全国的、広域的な見地から消防防災・危機管理体制の充実を図るとともに、行政と住民が一体となって地域の消防防災力を強化していく必要があります。
このため、消防庁では、消防体制の整備及び確立を図ることを目的とした改正消防組織法及び市町村の消防の広域化に関する基本指針に基づき、消防の広域化を積極的に推進してまいります。
また、昨年6月に改正された消防法に基づく民間事業所における自衛消防力の確保の促進や危険物事故防止対策の充実強化、緊急消防援助隊の充実と機動力の強化や被災地情報の収集能力の向上、特別高度救助隊・高度救助隊や国民保護体制の充実強化等、大規模災害やテロ災害に対する備えの強化に取り組んでおります。
一方、地域防災に重要な消防団の充実強化を図るため、消防団協力事業所表示制度の導入及び自衛消防組織の消防団への加入促進、消防団員確保アドバイザーの派遣など、引き続き、消防団の充実強化に係る様々な政策を推進し、消防団員の確保に全力で取り組んでまいります。
さらに、救急車の適正な利用の推進等の救急需要対策や、平成18年まで4年連続して1,000人を超えている住宅火災による犠牲者の減少に向け、住宅用火災警報器の設置等の住宅防火対策を含めた防火安全対策等も一層推進し、総合的な消防防災対策を積極的に展開してまいります。
皆様方におかれましては、我が国の消防の更なる発展と、国民が安心して暮らせる安全な地域づくりのために、より一層の御支援と御協力をいただきますようお願い申し上げます。
皆様方のますますの御健勝と御発展を祈念いたしまして、年頭のごあいさつとさせていただきます。