総務省消防庁では、全国の救急業務及び救助業務の実施状況等の調査を毎年実施しており、その調査結果を「平成19年救急・救助の概要(速報)」として発表しました。
1 救急出場件数は増加し、搬送人員は減少
平成19年中の救急自動車による救急出場件数は、前年に比べて約3万3千件増加し、約527万件でした。
一方、搬送人員については、前年に比べて約9千人減少の約488万人となりました。搬送人員を事故種別ごとにみると、交通事故による搬送人員は約3万4千人減少し、急病による搬送人員は約2万6千人増加しています。
救急自動車による救急出場件数及び救急搬送人員はそれぞれ527万982件(対前年比33,266件、0.6%増)、488万3,482人(同9,111人、0.2%減)でした。
救急自動車は約6.0秒(前年と同じ)に1回の割合で出場しており、国民の約26人(前年と同じ)に1人が搬送されたことになります。
現場到着までの所要時間は全国平均で6.9分(前年6.6分)となっています。
医療機関収容までの所要時間は全国平均で33.2分(前年32.0分)となっています。
2 救急体制の充実と救急業務の高度化は着実に進展
平成20年4月現在、救急隊数は4,896隊と5,000隊に迫り、救急救命士の資格を有する消防職員は2万1千人を超えています。
また、救急救命士運用隊は全救急隊の88.2%にあたり、目標である「全ての救急隊に救急救命士が1人以上配置される体制」に着実に近づくとともに、救急救命士による応急処置内容・件数も充実してきています。
救急隊数は4,896隊(対前年比50隊、1.0%増)、救急隊員数は59,194人(同22人、0.04%減)、うち、専任隊員19,730人(同104人、0.5%増)、兼任隊員39,607(同247人、0.6%減)人となっています。また、救急救命士有資格者数は21,816人(同1,748人、8.7%増)となりました。
救急隊員(3人以上)のうち少なくとも1人が救急救命士である隊は、全国4,896隊のうち4,319隊(88.2%)となり、その割合は年々高まっています。
器具による気道確保、除細動、静脈路確保及び平成18年4月より実施可能となった薬剤投与といった特定行為の処置件数も合計で83,983件にのぼり、対前年比7.0%増となっています。
3 市民による応急手当件数の割合は過去最高
消防機関の実施する応急手当普及講習の修了者数は年々増加し、平成19年中は150万人を超え、実際に救急搬送の対象となった心肺機能停止症例の約39%において、市民により応急手当(胸骨圧迫(心臓マッサージ)・人工呼吸・AED(自動体外式除細動器)による除細動)が実施されています。
応急手当普及講習の修了者数は、157万1,562人となり、国民の約81人に1人が受講したこととなります。(前年は約86人に1人)
市民による応急手当が実施された傷病者数は、全国の救急隊が搬送した心肺機停止傷病者数の39.2%(対前年比3.9%増)にあたる43,277人に及んでいます。
4 交通事故による救助出場件数、救助活動件数の割合が第1位
救助出場件数、救助活動件数のうち、交通事故による件数がともに第1位の割合(それぞれ、37.7%、33.2%)を占めています。
平成19年中の救助出動件数は、全体で8万311件であり、交通事故によるものが3万241件(全体の37.7%)で昭和55年以降、第1位の出動原因となっています。
同様に、救助活動件数は、全体で5万1,954件であり、交通事故によるものが1万7,220件(全体の33.2%)で昭和58年以降、第1位の活動種別となっています。
5 消防防災ヘリコプターによる救急出動件数が過去最高
消防防災ヘリコプターによる救急出動件数は年々増加し、平成19年中は過去最多の3,168件となりました。
平成19年中の消防防災ヘリコプターによる全出動件数は6,349件であり、そのうち救急による出動件数が3,168件(全体の49.9%、対前年比406件増)と過去最多を記録しました。