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2011年2月

2.住警器共同購入等の事例紹介 ~第7回~

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防災協会が主体となった政令市全域での共同購入の取組

 自治体やコミュニティが大きいほど、同一の取組を推進するのは難しい状況が見られます。今回は、市や防災協会が主体となった政令市全域での共同購入事例を紹介します。併せて、民間賃貸物件向けの取組についても紹介します。

(総務省消防庁「消防の動き 2011年1月号」より)

(1)地域・取組主体の概要

 京都市における防火・防災への取組として、昭和30年代に住民による組織として自主防火町が結成された。現在も227の自主防災会(おおむね小学校区単位に設置、設置率100%)とそのブロック組織である6,231の自主防災部(おおむね町内単位に設置)が結成されている。また、消防署職員がそれぞれ担当地域を持ち、約3年に1度の戸別訪問を実施している。
 京都市防災協会は、防火・防災の指導等のために平成6年に設立された財団法人であり、自主防災会への支援等を実施している。

(2)共同購入の取組概要

 平成18年当時はまだ住警器の価格も高く、義務化についても浸透していなかった。そこで、市民の負担軽減と設置普及、悪質訪問販売の防止を図るため、地域ぐるみでの設置促進事業を開始した。
 初年度は、自主防災部からの購入希望数を取りまとめた上で、防災協会が一括購入した。
 次年度からは、各自主防災会による共同購入に変更し、防災協会は情報提供等の支援を行った。

取組主体:京都市防災協会
人数等:12人
消防署等:京都市消防局
職員数:1,945人
地域:京都府京都市(政令市)
人口/世帯数:1,474,811人/641,455世帯
キーワード:●広報・周知
( 掲示物・配付物、セミナー、説明会、個別訪問)
●必要数確認の工夫
●共同購入
●購入補助(補助金等)
●設置支援
●設置確認(戸別訪問)
●賃貸物件対策


平成18年 防災協会による共同購入(一括購入)
工夫点
①自主防災部への周知活動
②様々なパンフレット等の作成
③防災協会による一括購入
④市による購入費助成


平成19年 各自主防災会による共同購入
工夫点
⑤取付支援の実施

(3)工夫点の紹介

工夫点①:自主防災部への周知活動
●実施内容
 住警器設置の義務化について周知するため、京都市消防局の防災指導責任者(自主防災会の育成・指導を担当)が、事業主旨を自主防災部の役員に対して周知した。防災協会は事業説明用のパンフレットの作成や問い合わせ対応を行った。

●ポイント
 まずは消防局の職員が説明を実施することにより、事業主旨の周知・徹底を図った。

工夫点②:様々なパンフレット等の作成
●実施内容
 後段の「(6)活動において作成された資料等」に示す工夫点①の事業説明用のパンフレット等を防災協会が作成した。例えば、自主防災会向けには「住警器とは」「共同購入の方法」といったものを、個人向けには必要個数がわかりやすい資料や取付方法のパンフレット等を作成した。

●ポイント
 それぞれ対象、用途、目的にあったパンフレット等を作成している。

工夫点③:防災協会による一括購入
●実施内容
 工夫点①の説明の結果、170の自主防災部から応募があった。購入先は5社で入札を実施して価格により決定した。購入は、市からの貸付を原資として防災協会が一括して行った。購入数は合計1万4,420個となった。
 購入申込手続き等は、170の自主防災部の部長に対して、防災協会の担当者が戸別訪問し説明した。

●ポイント
 大量の一括購入を実施することにより、当時の市価の半額以下で購入することができた。
 ただし、市全体での一括購入は民業の圧迫になる等の意見もあり、公正取引委員会や弁護士等の意見も伺った結果、次年度からは自主防災会単位で共同購入を実施することとなった。

工夫点④:市による購入費助成
●実施内容
 平成18年度は、購入した自主防災部に対して、購入経費の5%が京都市から助成された。実際には購入した世帯に対して5%分の金額がキャッシュバックされた。

●ポイント
 5%ではあるが、市民の負担が軽減された。

工夫点⑤:取付支援の実施
●実施内容
 平成19年度も購入費助成を目的とした予算が市によって確保されていたが、平成18年度事業の中で「取付支援を実施して欲しい」との意見もあったため、5%分のキャッシュバックを廃止して取付支援にあてることとなった。
 対象者は高齢者等で、取付支援を希望する場合には申請してもらい、審査の上で決定した。取付支援は基本は地域の取付サポーター等が実施したが、高天井等設置が難しい場合には業者に依頼し、その際の費用に助成金をあてた。

●ポイント
 市の助成金を有効に活用して取付支援を実施した。業者による取付の際には、消防署の職員が立ち会った。

(4)その他のポイント等

民間賃貸物件対策
 共同購入事業では持ち家における普及は進むが、民間賃貸住宅においては設置義務がある主体が決まっていないこともあり、設置が進んでいなかった。そこで消防局が主体となって普及活動を実施した。
 具体的には、平成20年度から、民間賃貸物件の管理者、不動産業者、所有者に対する研修会を実施している。

(5)今後の取組予定

学生向け民間賃貸物件対策
 大学の多い京都市の特性上、学生向けの民間賃貸物件が多い。
 そこで、所有者向けのセミナー(税務に関するものなど)の際に合わせて住警器についての説明を行うことや、斡旋を行っている大学の学生課向けに、「住警器設置済の物件は安全・安心である」という観点を指導することなどを考えている。

企業を通した普及活動
 
企業(事業所)を通した共同購入等を促進するため、企業訪問を試行中である。

 次回は、日頃の地域に根ざした防火活動を通じて、地区における普及率をほぼ100%達成した「婦人(女性)防火クラブによる普及率100%の共同購入活動(取組主体:宇治市消防団あさぎり分団笠取支部(京都府宇治市))」を紹介します。
 なお、本ノウハウ集は消防庁ホームページ(住宅防火情報)でもご覧いただけますので、参考としてください。〈リンク先〉http://www.fdma.go.jp/html/life/juukei.html

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