HOME  > 防火ネットニュース1月号  > 4.住宅用火災警報器設置対策会議の開催 -総務省消防庁

2013年1月

4.住宅用火災警報器設置対策会議の開催 -総務省消防庁

目次 次頁

第2回住宅用火災警報器設置対策会議の開催

総務省消防庁 予防課

はじめに
 去る9月27日、第2回住宅用火災警報器設置対策会議が東京都千代田区の主婦会館プラザエフで開催されました。当会議は、消防庁、消防機関、関係行政機関、関係団体、関係業界が連携して、住宅用火災警報器の設置の徹底を図るため開催しているものです。

会議の概要
(1)住宅用火災警報器の設置率とその効果等についての消防庁からの報告

①平成24年6月における全国の推計設置率は、77.5%となっており、前回(平成23年6月)の71.1%から6.4ポイント上昇している。
設置率の伸びとともに火災件数は減少している。火災による死者数についても、概ね減少傾向にある。(図1参照)

②住宅火災100件当たりの死者数、住宅火災1件当たりの焼損床面積・損害額を見ると、住宅用火災警報器を設置している場合は、設置していない場合に比べ、死者の発生は2/3、焼損床面積等は概ね半減している。(図2参照)

③住宅用火災警報器の奏功事例は、住宅用火災警報器の設置世帯の増加に伴い増加してきている。70%以上は台所からの出火であり、住宅用火災警報器の音を聞いて火災に気づくのは、約半数のケースで近隣住民である。(図3~図5参照)

図1 住宅火災の状況と住宅用火災警報器の設置状況
図1 住宅火災の状況と住宅用火災警報器の設置状況

図2 住宅用火災警報器の効果
H21年からH23年までの3年間における失火を原因とした住宅火災について、火災報告を基に、住宅用火災警報器の効果を分析。
※ここでは、住宅火災のうち原因経過が「放火」又は「放火の疑い」であるものを除く件数を、「失火を原因とした住宅火災」の件数としている。死者数、焼損床面積及び損害額を見ると、住宅用火災警報器を設置している場合は、設置していない場合に比べ、死者の発生は2/3、焼損状況は概ね半減。→住宅用火災警報器を設置すれば、火災発生時の死亡リスクや損失の拡大リスクが大幅に減少。

<住宅火災100 件当たりの死者数>
<住宅火災100 件当たりの死者数>
<焼損床面積>
<焼損床面積>
<損害額>
<損害額>

注1)「死者」とは、火災現場において火災に直接起因して死亡した者であり、火災により負傷した後48時間以内に死亡した者も含む。
注2)死者の発生した経過が「殺人・自傷」(放火自殺、放火自殺者の巻添者、放火殺人の犠牲者)であるものを除く。

図3 奏功事例の把握の件数(年別)
奏功事例件数合計: 計 7,604 件

<損害額>

※平成24年中は6月現在の数

図4 火災に気付いた者
<損害額>

図5 出火箇所
<損害額>

④住宅用火災警報器の維持管理上の問題点についての消防本部等に対する調査結果では、約3割の消防本部等から、住宅用火災警報器の掃除方法が統一されていないとの指摘があり、約4割の消防本部等から、電池切れ等のブザー鳴動により119番通報に問合せや誤報の入電があるとの指摘があった。
(図6・図7参照)

(2)住宅用火災警報器の設置促進に係る取組状況・予定についての各機関からの報告
・消防庁
・財団法人 日本防火協会
・日本消防検定協会
・全国消防長会
・財団法人 日本消防協会
・一般社団法人 日本火災報知機工業会
・ガス警報器工業会
・財団法人 日本防火・危機管理促進協会

(3)住宅用火災警報器の維持管理等に関する調査についての(財)日本防火協会及び日本消防検定協会からの報告

①住宅用火災警報器の非火災報(火災によらない原因での鳴動)の原因を調査すると、魚を焼いたときの煙、殺虫剤、炊飯器等の家電製品による湯気による鳴動が多く、誤作動防止のため、設置場所を検討したり、換気扇の使用を推奨したり、殺虫剤を使用する際の対処方法を説明することが必要である。(図8参照)

②電池切れ、故障の鳴動があった際の対応について調査したところ、警報が鳴ったにもかかわらず、「そのまま放置している」との回答もあることから、今後は、設置済み世帯に対する維持管理の広報が重要である。
(図9参照)

③点検や掃除の頻度を調査すると、「特に何もしていない」と回答した世帯は6割以上で、点検や手入れの必要性や方法を“知らない”といった意見が多く挙がっていることから、正しい知識の周知を図る必要がある。
(図10参照)

図6

住宅用火災警報器の掃除の方法が統一されていないと思いますか?

図6 住宅用火災警報器の掃除の方法が統一されていないと思いますか?

図7

電池切れ等のブザーの鳴動により、110番通報に問合せや誤報の入電がありますか?

図7 電池切れ等のブザーの鳴動により、110 番通報に問合せや誤報の入電がありますか?

図8 非火災報の原因
図8 非火災報の原因

図9 電池切れ・故障の際の対応
図9 電池切れ・故障の際の対応

図10 点検の頻度
図10 点検の頻度

終わりに
消防庁では、今後とも、消防機関及び関係団体等と連携して、住宅用火災警報器の設置の徹底を図るとともに、設置した住宅に対する維持管理の重要性について周知を図ることとしています。

住宅用火災警報器設置対策基本方針
(平成23年9月7日第1回住宅用火災警報器設置対策会議決定)

1 未設置世帯に対する働きかけの強化
2 奏功事例等の積極的な周知
3 維持管理に関する広報の強化

住宅用火災警報器設置対策会議委員名簿

会  長  菅原 進一  東京理科大学大学院教授
副会長  秋本 敏文 財団法人 日本消防協会会長兼財団法人 日本防火協会会長
委  員  伊藤 廉 財団法人 日本防火・危機管理促進協会理事長
委  員  井上 俊之 国土交通省住宅局長
委  員  北村 吉男 全国消防長会会長
委  員  小林 輝幸 日本消防検定協会理事長
委  員  鈴木 政子 静岡県女性防火クラブ連絡協議会会長
委  員  重盛 徹志 ガス警報器工業会会長
委  員  田中 公明 株式会社 毎日新聞東京本社毎日フォーラム室長 社会部編集委員
委  員  田波 宏視 日本放送協会制作局文化・福祉番組部長
委  員  田上 征 一般社団法人 日本火災報知機工業会会長
委  員  長谷川 彰一 消防庁次長
委  員  三好 修 公益財団法人 日本賃貸住宅管理協会会長
委  員  村田 勝彦 一般社団法人 日本損害保険協会常務理事

(以上、委員五十音順、敬称略)

(総務省消防庁「消防の動き 2012年12月号」より)

このページの上に戻る
目次