年頭の辞
消防庁長官 坂本氏 平成27年の新春を迎えるに当たり、常日頃から地域の安心・安全を守るため、昼夜を分かたず消防防災活動にご尽力いただいております全国の消防関係者の皆様に、謹んで年頭のご挨拶を申し上げます。
昨年は、大規模な自然災害により、大きな被害が生じました。
夏には、台風や前線の影響により全国各地で大雨被害が発生し、中でも8月に広島市で発生した土砂災害では74名の方が犠牲となり、救助活動中の消防職員が再度発生した土石流に巻き込まれて殉職するという痛ましい出来事もございました。
また、60名を超える死者・行方不明者が発生した9月の御嶽山の噴火災害においては、高地で酸素が薄く、火山性ガスが発生し、さらに足下に大量の火山灰が降り積もっているという過酷な環境の下で、多くの消防職員が懸命の捜索活動に当たりました。
さらに、幸い死者が発生することはありませんでしたが、11月には、多くの家屋倒壊を伴う地震が長野県北部を震源として発生したところであり、今後、首都直下地震や南海トラフ地震などの大規模地震の発生も危惧されています。
ひとたび災害が発生すれば、先陣を切って災害現場に駆けつけ、果敢に活動する消防に、国民は大きな信頼と期待を寄せています。このような国民の信頼と期待に応えられるよう、消防庁においても、緊急消防援助隊や常備消防力の充実強化、消防団を中核とした地域の防災力の充実強化、2020年オリンピック・パラリンピック東京大会等に向けた大都市等の安全・安心対策、火災予防対策、被災地における消防防災体制の充実強化などを柱とした施策に取り組んでいるところです。
また、高齢者施設や有床診療所における火災が相次いだことを受け、消防法施行令の一部を改正し、スプリンクラー設備の設置基準の見直し等を行いました。改正後の基準は、本年4月以降、順次施行されるため、施行に向けた取組を進める必要があります。
我が国の消防は、先人のたゆまぬ努力の積み重ねにより、着実に進展し、国民の安心・安全の確保に大きな役割を果たしてきました。皆様方におかれましても、我が国の消防防災・危機管理体制の更なる発展と、国民が安心して暮らせる安全な地域づくりのために、より一層のご支援とご協力をいただきますようお願い申し上げます。
皆様のますますのご健勝とご発展を祈念いたしまして、年頭のご挨拶とさせていただきます。