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2005年2月

9.「メルマガ創刊に寄せて」

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消防庁防災課⻑ 下河内 司

集中豪⾬、台風、⾼潮、地震など、昨年は災害の多い年でした。災害は避けることはできないわけですが、被害を⼩さくすることはできます。被害を⼩さくするのは、地域の総合的な防災⼒です。地域の⾃主防災組織、婦⼈防⽕クラブ、消防団の皆さん等の取り組みです。

もちろん、その前提としては、公的機関が災害・危機管理対応を⼗分に⾏うことが必要です。

昨年の豪⾬災害の際の市町村⻑の対応を⾒ると、消防団と⼀緒にいち早く登庁して災害対応に当たって⼀⼈の死者も出さなかった市町村⻑がいる⼀⽅、出張中の列⾞で携帯電話を切っていたために堤防が決壊して2時間後にしか連絡が取れなかった市町村⻑や、災害の現場視察に出て災害対策本部での指⽰をできなかった市町村⻑等のもとで被害が⼤きくなったという事例もあります。災害・危機管理対応の指揮を取る市町村⻑の役割は極めて⼤きいのです。

このため、消防庁では、知事や市町村⻑を対象とした「危機管理トップセミナー」を、消防⼤学校や市町村アカデミー等で開催していただいております。

そうした場で、市町村⻑には、最低限次のようなことをお願いしております。(1)就任時、その後も毎年1回は、危機管理のレクチャーを受けることが必要。(2)毎年1回は、⾃ら指⽰をして、防災訓練を実施することが必要。(3)休⽇夜間、出張時を含めて、どこにいても連絡が取れる態勢を取ることが必要。災害時優先機能付きの携帯電話を何時も持ち歩くことが必要。(4)防災拠点となっている庁舎、消防本部の耐震化を早急に図ることが必要。(5)災害時の避難勧告等を伝える防災⾏政無線(同報系)の整備を進めることが必要。防災⾏政無線は国⺠保護の警報伝達にも必要。(6)災害発⽣時には、何をおいてもいち早く登庁し、災害対策本部を開催し、職員を指⽰して情報の収集を⾏うことが必要。(8)災害発⽣時には、プロアクティブの原則に沿って⾏動することが必要。(i)疑わしい時は⾏動せよ→被害報告等を待っていては⾏けない、⾃ら情報を取りに⾏くこと、(ii)最悪事態を想定して⾏動せよ→希望的観測をするな、(iii)空振りは許されるが、⾒逃しは許されない→空振り 覚悟で積極的に対応せよ。

しかし、危機管理トップセミナーに参加する市町村⻑はそれほど多くありません。危機管理意識をきちんと持ってくださいと、国や都道府県から⾔っても限界があります。⼀番効果があるのは、有権者の皆さんに、市町村⻑よしっかりしろと⾔っていただくことです。

防災訓練をしていない、防災訓練をしていても⾃ら参加しない、婦⼈防⽕クラブの訓練に出てこない、万が⼀の災害対応ができないぐらい泥酔する、災害対応の話をしても良く理解していない、寝たきりの⾼齢者や障害者の災害時の避難誘導について計画すら作ろうとしない、災害対応をする庁舎や避難場所となる学校の耐震化の状況を知っていない、こんな市町村⻑は落第と⾔って下さい。住⺠の皆さんの声が市町村の災害対応を変えていくと私は確信しています。

そのためには、住⺠の皆さんに、⾃分の住んでおられる市町村の防災・危機管理⼒がどういう状況かを先ず知っていただくことが必要です。消防庁では、まず、都道府県の防災・危機管理⼒をチェックするための指標を策定し、各都道府県に⾃⼰評価してもらった結果を昨年6⽉に公表しました。今年度は、市町村の防災・危機管理⼒をチェックするための指標を策定しているところであり、平成17年度の早い時期に全国の市町村に⾃⼰評価していただく予定です。こうした評価結果を参考に、市町村に防災・危機管理体制の強化に取り組んでいただきたいと思いますし、多くの住⺠の⽅にも関⼼を持っていただきたいと思います。

また、東海地震や東南海・南海地震が想定されている地域の都道府県や市町村には、災害の時に拠点となる学校などの耐震化の状況を住⺠の皆さん公表してくださいとお願いしています。地震が起きて、避難場所となっている学校等に⾏こうとしたら壊れていたでは困ります。婦⼈防⽕クラブの皆さんも、是非、関⼼を持って頂いて、耐震化の状況を聞いてみて下さい。

防災の取り組みは、多くの⼈に出会い、できるだけ多くの⽅に防災に関⼼を持っていただき、皆さんの⼼に防災の灯を⼀つ⼀つともしていくことであると私は考えております。私の好きな仏教詩⼈である坂村真⺠先⽣の詩に、「⼀期⼀会」という詩がありますので、ご紹介をさせていただきます。

「思いもかけない⼈と出会い 思いもかけない⼈の⼿を握り ⼀期⼀会の喜びと ⼀期⼀会の悲しみをする 時には⼈ではなく ⽊であったり ⽯であったりもする そして時には⼈よりも ⽊や⽯の⽅が もの⾔わぬだけに 無限の感動を覚え 涙のにじむことがある 無常といい 永遠といい命のやりとりのせつない尊さよ」メールマガジンをお読みの皆様からも、防災の取り組み等を是非教えていただければと思います。

機会があれば、皆様と素晴らしい⼀期⼀会の出会いをできればと念じております。

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