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2005年4月

4.婦⼈防⽕クラブ会⻑活動報告

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平成16年11⽉6⽇
蒲郡市⼥性防⽕クラブ会⻑ ⼩林 春代

 暑く⻑かった今年の夏は、異例の台風発⽣数と⽇本列島総なめのコースに苦しめられました。そ の⽖跡も癒えぬ間に新潟中越地震が地⾯も⼈の⼼も揺さぶりました。
 「新潟で震度6強」のニュースを聞いたのは、台風23号のため昨⽇までバス代⾏運転だった予讃線 を、徐⾏しながらの列⾞で参加した、「⽇本⼥性会議2004松⼭」開催地の四国松⼭市のホテル2泊目 10⽉23⽇の夜でした。
 7⽉の福井豪⾬時に美⼭町蔵作(くらつくり)地区に、今回の地震では⼩千⾕市へ、それぞれ⽇本防 ⽕協会から愛知県婦⼈消防クラブ事務局である愛知県消防協会へ、近隣県同様2〜3名の炊き出し⽀援 要請がありました。
 福井県美⼭町蔵作地区は全⼾数46⼾中37⼾が被災されたという、⾜⽻川最上流の川沿いの地域で す。蔵作農事集会場での炊き出し⽀援活動に、愛知県から3⼈同時参加しました。地元⼥性リーダーの 下、連⽇詰めておられた福井県⼥性防⽕クラブ会⻑共々1回の⾷事、おにぎり150ヶ(他にパック詰め ご飯あり)、救援物資の冷凍いか・⾁、地元で⽔害をまぬがれた野菜等を使ってのお惣菜づくり。遠 く讃岐から⽀援のうどんを茹でたりと家庭的な炊き出しのお⼿伝い、調理の品数、味付け、等々すべ て任されました。「かぼちゃがもう少しあるといいね。」の⼀⾔に、「うちの畑から取ってくる わ。」とお⼀⼈が⾶んで⾏かれます。両⼿でかぼちゃを抱えてこられ「お願いします。」プロパンガ スでの煮炊きでした。
 新潟での⽀援は、⼩千⾕市役所の駐⾞場で、朝7時からひたすらおにぎり作りに専念です。総数 9,000ヶ。11⽉1⽇の14,000ヶをピークに前⽇まで13,000ヶ作ったそうです。⾃衛隊員が専⽤⾞での 炊飯をします。リーダー役の市職員、⽯川県防⽕クラブ引率の消防職員、⽇本防⽕協会部⻑等で1テー ブル。具である梅⼲・漬物を切ることと握ったものを配達場所⼈数に合わせ、袋に詰めるためのテー ブルです。4テーブルがにぎり隊です。市役所職員と地元協⼒者の4⼈をリーダーに、各県からの防⽕ クラブ員を含むボランティア6⼈ほどで1テーブル、活動中お互い話声も出さず、あくまでも⻭⾞のひ とつとしての役割です。でも固くなく、やわらか過ぎず喜んでいただける握り具合に⼼を込めて。
 市職員さんは、連⽇同じ場所の担当として早朝から出ておられるようです。昨⽇も帰宅したら震度5 強の余震でタンスの上の⼩物が倒れていたと話されていました。仕事途中に、休校中の⼦どもさん が、お⺟さんの顔を覗きにみえました。避難所へ⾏くほどではないところの⼈々は、外部から⾒た 時、「良かったですね。」の⼀⾔で⽚付けられますが、そこにも⽇常⽣活とは違う犠牲が払われてい るのだと感じました。このようなことは平常時でも、考えさせられる問題ですが。
 愛知県からのもう1⼈の参加者(常沢愛知県婦⼈消防クラブ副会⻑)と⼊れ替わりに出かけた新潟へ の途中、11⽉4⽇の午前中にも震度5強の余震があり、交通機関は未復旧の所へ加え先⾏列⾞の⼈⾝事 故で、運休、遅延で9時間余でやっと柏崎駅到着。明朝⼩千⾕市まで⾞で約1時間、途中⾄る所で⼭崩 れ、きれいに紅葉している雑⽊が、滑り落ちた⾚⼟にしがみついていました。
 県外からの⽀援者はひと先ず11⽉5⽇で活動中⽌。地元弁当業者が復活できれば、業者利⽤に切り 替えます。避難所でリーダーだった⼈が職場復帰できれば、その避難所の⾷事⼀式⾃衛隊に委託とい うように、⽀援活動はあくまでも、⾃⽴⽀援に徹します。刻々と替わる時間経過状況を的確に捉え、 それに素直に従う柔軟性がないと、被災地に非常な迷惑をかけてしまうという事実を目の当たりにし ました。前後をカットして、視聴者受けだけを意識した報道には、被災地の⾃治体や住⺠の⼈達にず いぶん迷惑が掛かっているのではと思われます。
 ⼩千⾕市救援物資保管場所(倉庫らしき建物と⼤型テント)を⾞窓から垣間⾒ました。協定を結ん でいる企業、県、市からの物資が整然と積まれていました。現在の⽇本は物資⾯では、交通機関や道 路さえ運⾏可能なれば先ず⼤丈夫。今回でも孤⽴してしまった地域や、発災後災害が進⾏する場所以 外は、時間と共に救援の⼿は届く。ただ、蒲郡市の場合、他県、他市町村とどのような協定を結んで いるのでしょうか。市が福井へも新潟へも、救援にいったという話は聞いていないような気がしま す。たまたま⼀企業の炊き出し⽀援隊に職員が2名だけ同⾏すると⽿にしましたが。
 蒲郡市⻑の⼝癖でもある「⾃分のことは⾃分で」は当然です。そのために市⺠がもっと被災者にな りうることを現実的に捉えられるような、市⺠育ての責任が⾏政にはあるのではないでしょうか。ま た、発災し、被災地になった場合、職員だけが「忙しくてと」ことば荒く、かたくなな態度をとらな くてもよいように、関係機関の仕事に協⼒できる市⺠リーダーを育てる必要があると考えます。⼩千 ⾕市でも「職員さんも疲れてきたじゃないの、こちらの出⽅もあるし。」という前⽇から来られてい た他県の⽀援者の声を聞きました。
 市⺠のみなさんは、住環境の耐震化、3⽇間の⽔と7⽇間の⾷料、そして緊急時の⼼構えの準備が必 要だと思います。先の美⼭町の初⽼の男性がおっしゃいました。「5年前に100年ぶりの⼤⾬に遭い、 また200年ぶりの⽔害に遭った。今度はここを逃げ出そうと思ったが、⾒も知らずのボランティアさ んが⼤きな岩と泥を運び出してくれた。2階に電気が点いた。もう1度ここで頑張ろうと思った。⼀⼈ の犠牲者も出さなかった⼤変仲の良いこの部落で」と。また、ご⾃⾝が地震・津波被災経験のある防 ⽕協会の部⻑は、「今の⼤半の⼈たちは、緊急時を乗り切る意識が⽢い。非難はあるが、時として組 織としては個⼈的我がままは、通してはならない時がある。」と。
 なお、今回、出かける前の私に多くの⽅が、被災地の⼈々へ何らかの⼒になりたいとご⾃分の⼼情 をお伝えくださいました。私はやさしさに囲まれていることの再認識ができ、現地で、⾝近で幾度と なく⿃肌の⽴つ思いと涙にじむ思いを体験いたしました。
 神⼾の都市型災害、福井の⽔害、今回の中越地震と、災害の形態、被害状況、市⺠意識等、それぞ れの違いを尊重した⽀援を考えないと、⽀援が⽀援でなくなる場合があります。義援⾦⽀援も本当 に、⽀援してくださった⼈の気持ちが活かされる経路を考える必要があると思います。⼜、ボラン ティアの基本と⾔われる「⾃発性」「継続性」は⼀時的災害ボランティアには通⽤しないことがある のだと、コーディネーターとしての幅の広さを学び、私には宝物がまた、ひとつ増えました。
 ご多⽤の中、帰り際には⼩千⾕市⼥性防⽕クラブ担当職員さんが、⾒送りに駆けつけてくださいま した。⼩千⾕市⼥性防⽕クラブ員さんはじめ、⽇本各地の被災者のみなさんが、寒さを前に⼀⽇も早 く、安⼼できる⽣活に戻られますよう⼼よりお祈り申し上げております。

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