婦人(女性)防火クラブは、家庭での火災予防の知識の習得、地域全体の防火意識の高揚などを目的として、地域において活動している組織です。平成22年4月1日現在、全国各地で1万709団体、約172万人のクラブ員のみなさんが活動されています。
婦人(女性)防火クラブの活動
住宅用火災警報器推進活動
〔伊勢崎市女性防火クラブ〕
(写真提供:群馬県伊勢崎市) 婦人(女性)防火クラブは、地域の実情に応じて様々な活動をしています。主な活動例としては、火災予防の啓発活動があります。地域住民や児童・生徒などに対する火災予防に関する知識の普及啓発や、消火器取扱訓練などの実演を通した火災予防のための技術向上に貢献しているほか、紙芝居・人形劇など、子どもたちに興味を持ってもらえるよう工夫を凝らした啓発活動を進めているクラブもあります。特に、平成23年6月の全ての住宅に対しての住宅用火災警報器の設置義務化に向けては、イベントを通じた設置の呼びかけや、住宅用火災警報器を地域で共同購入するなどの取組を行い、積極的な設置促進活動が実施されました。
さらに、防火に関する取組だけでなく、地域の防災に関する取組など幅広い活動が行われています。地震時の家具転倒防止に関する知識の普及啓発、応急救護訓練の実施、消防団等と連携した地域の防災訓練への参加、災害時における炊き出しなどの後方支援活動などが実施されており、家庭や地域の防災力向上に大きく貢献しています。このほか、東日本大震災においては、避難所における炊き出し支援や、被災地への義援金・支援物資の提供等、各地のクラブが様々な形で支援活動を行っています。
また、災害発生時の避難などの際に支援が必要となる災害時要援護者に配慮した地域づくりの一環として、災害時要援護者宅への日常の家庭訪問による防災点検等が実施されています。災害時の避難誘導の実施(そのための日頃からの訓練)なども含めて、婦人(女性)防火クラブの皆さんの知識やネットワークを生かした災害時要援護者への支援活動に対する期待はますます高まってきているといえます。
炊き出し訓練
〔愛知県婦人消防クラブ連絡協議会〕
(写真提供:愛知県消防協会)連携によるメリット
婦人(女性)防火クラブ活動は、「我が家から火を出さない」防火運動を原点に、他のクラブ・組織との連携や情報交換により一層の活動の充実が期待できます。現在、42道府県で婦人(女性)防火クラブの連絡協議会が設立されており、クラブ間の意見交換や合同研修など交流が行われています。また、同様に地域防災を担う消防団や地区の自主防災組織、社会福祉団体やボランティア団体などの地域の関係機関・団体との連携も重要です。合同での防火・防災訓練や意見交換の場を持つことで、災害時にもスムーズな協力体制の構築が期待できるほか、日頃からの顔の見える関係づくりは、いざというときの災害対応活動時にも非常に効果があります。さらにこのことは、地域防災力向上に大きく貢献するほか、地域コミュニティの維持・向上にも役立つものと考えられます。
活動の活性化に向けて
婦人(女性)防火クラブは地域の防火・防災を担う重要な役割を担っていますが、クラブ員は近年減少傾向にあり、その活性化が求められています。火災や災害といった緊急時に、地域に根差した女性の方々の災害対応活動が非常に大きな力になることは間違いないでしょう。「自分たちの地域は自分たちで守る」という信念と連帯意識の下に、火災や災害に強い安心安全なまちづくりのために、より多くの方々に婦人(女性)防火クラブ活動に積極的に参加していただきたいと考えています。
(総務省消防庁「消防の動き 2011年10月号」より)