原 邦彰 消防庁長官
年頭の辞
はじめに、令和6年元日に最大震度7を観測した令和6年能登半島地震に際し、不幸にしてお亡くなりになった方々のご冥福をお祈り申し上げますとともに、御遺族に対し、深く追悼の意を表します。また、負傷された方々や被害を被られた方々、そして現在も安否不明である方々に対し、心からお見舞い申し上げます。
今回の災害においても、消防本部と地元消防団の方々はもとより、県内消防応援隊や緊急消防援助隊に、多くの人命に関わる救助・救急活動に御尽力いただいており、深く感謝申し上げます。
また、全国の消防関係者の皆様方には、平素から消防防災活動や消防関係業務などに御尽力いただいており、心から敬意を表します。
昨年は、5月に発生した石川県能登地方を震源とする地震、梅雨前線による大雨、6月下旬からの大雨と共に線状降水帯の発生を伴う豪雨など、様々な災害が全国各地で発生し、多くの方々が犠牲になりました。
お亡くなりになられた方々の御冥福をお祈りするとともに、被災された方々に心からお見舞い申し上げます。
災害現場においては、皆様の総力を挙げて国民の生命、身体及び財産を守るため最前線での活動等に当たっていただきました。また、2月にトルコ共和国でマグニチュード7.8の強い地震が発生した際は、国際消防救助隊として人命に係る活動に従事していただきました。改めて皆様の御活躍・御尽力に敬意を表しますとともに、心から御礼申し上げます。
また、新型コロナウイルス感染症は感染症法上の5類に移行しましたが、依然として救急搬送困難件数は高い水準で推移しており、さらには、昨年は記録的な猛暑により、熱中症患者の搬送も増加いたしました。そうした過酷な救急の現場においても、日々、献身的に御対応いただいていますことに感謝申し上げます。
近年、災害の激甚化や救急業務の逼迫が顕著となっており、国民の生命、身体及び財産を守る消防の果たす役割は、より一層重要なものとなっています。
消防庁では、国民の皆様が引き続き安心して暮らせるように、緊急消防援助隊や常備消防、消防団の充実強化をはじめ、消防防災分野におけるDXの推進、科学技術の活用などを柱とし、消防防災力の強化に取り組みます。
とりわけ、大規模災害対応の要である緊急消防援助隊については、消防組織法に規定されてから20年が経過し、今後発生が懸念される南海トラフ地震等大規模災害に備えて、映像等のデジタル手法を活用し、リアルタイムで災害情報を収集・分析できるようDX資機材を整備するとともに、ヘリコプターや特別高度工作車などの車両・資機材の更新を計画的に進めてまいります。
また、団員減少が危機的な状況にある消防団については、引き続き、装備や資機材の充実強化に取り組むとともに、モデル事業に対する支援、消防団への更なる入団促進を図るためのマニュアルの作成や広報の充実などを行い、消防団員の確保に全力を挙げてまいります。
さらに、消防防災分野におけるDXについては、マイナンバーカードを活用した救急業務の迅速化・円滑化をはじめとし、消防指令システムのインターフェイスの標準化・消防業務システムのクラウド化や消防団へのドローン配備・講習の実施などを推進してまいります。
また、昨年4月以降は、北朝鮮から発射された弾道ミサイル等により、幾度にわたり国民保護情報がJアラートで送信されたところです。消防庁では、弾道ミサイルを想定した住民避難訓練の優良事例集の作成や、知見を有する者を自治体に派遣して国民保護共同訓練や避難実施要領のパターンの高度化を促進し、より一層国民保護体制の整備に万全を期してまいります。
皆様方におかれましては、国民が安心して暮らせる安全な地域づくりとそれを支える我が国の消防防災・危機管理体制の更なる発展のため、より一層の御支援と御協力を賜りますようお願い申し上げます。
結びに、皆様の益々の御健勝と御発展を祈念いたしまして、年頭の挨拶とさせていただきます。