HOME  > 防火ネットニュース1月号  > 4.自主防災組織リーダー研修会開催〔広島、沖縄〕

2012年1月

4.自主防災組織リーダー研修会開催〔広島、沖縄〕

目次 次頁

自主防災組織リーダー研修会を開催しました

広島県 危機管理監消防保安課

 防災に関する高度な知識・技能を習得させるとともに、地域における自主防災活動活性化のために活躍できる人材の育成等を図るため、(財)日本防火協会と広島県の共催により『平成23年度自主防災組織リーダー研修会』を次のとおり開催しました。

【日程】平成23年11月5日(土)から6日(日)の2日間
【会場】ALSOKホール(広島市中区)
【参加者】県内各地から、49名が参加

【1日目】
『開講式』
 主催者である広島県危機管理監消防保安課の藤井課長の開講のあいさつにより、研修が開会しました。

『地域の防災リーダーによる活動報告』
 広島県内で活躍する地域の防災リーダーによる、活動事例報告を実施しました。
 報告では、東日本大震災を現地で経験した防災リーダーによる、震災の経験を踏まえた取組みの報告と、地域の様々な団体と連携した自主防災活動の発表など、いずれも熱心な取組事例で、研修参加者にとって今後の活動の参考となるところも多くありました。

『中山間地域におけるまちづくり(川根振興協議会による取組)』
 安芸高田市高宮町川根振興協議会の辻駒健二会長による、川根地区で実施されているまちづくりの取組みについての講義を実施しました。
林講師による講義の様子
林講師による講義の様子
 川根地区は、広島県と島根県との県境に位置する高齢化率が45%を超える中山間地域。様々なアイデアを駆使した、行政に頼らない積極的なまちづくりの取組みに、研修参加者からは、「自治活動の重要性を強く認識できた」、「心を打たれた」などの声が聞かれました。

『東日本大震災から学ぶ防災リーダーが取組むべきこと』
 呉市消防局東消防署音戸消防署の林国夫主査による、クロスロードや防災ダック、歩一歩(ほいっぽ)体操などのユニークな手法を用いた防災教育についての講義を実施しました。
 講義では、それぞれのツールを実際に用いての体験や、昨年度のこの研修会で林講師に講義を受けた防災リーダーによる地域での実践事例の報告などを行い、研修参加者の防災教育に対しての認識も深まりました。

鈴木講師による講義の様子
鈴木講師による講義の様子
『東日本大震災 ~二葉消防本部の活動と自主防災組織の課題~』
 東日本大震災で甚大な被害を受けた、福島県双葉地方で活動を行っている双葉地方消防本部浪江消防署の鈴木達也予防係長より、震災発生から現在までの活動内容や、震災から浮かび上がった自主防災組織の課題・教訓などについての講義を実施しました。
 講師自身の体験に基づいた講話に、研修参加者からも「胸に迫るものがあった」、「この震災を忘れてはならない」などの意見も聞かれました。

【2日目】
松井講師による講義の様子
松井講師による講義の様子
『災害と地域社会』
 広島経済大学経済学部メディアビジネス学科の松井一洋教授より、防災リーダーに必要とされる危機発生時のリーダーシップや、これからの地域社会のかたちに対応した減災対策のありかたなどについての講義を実施しました。
 講師の熱のこもった講義に、研修参加者も、自ら発揮すべきリーダーシップや、地域コミュニケーションの大切さなどを再認識しました。

籠田講師による講義の様子
籠田講師による講義の様子


『大規模災害に備えて ~大規模災害時のとっさの判断~』

 元広島県危機管理対策監の籠田純士講師より、集中豪雨等による大規模な土砂災害を想定した講義と図上演習を実施しました。
 参加者は5つのグループに分かれた後、土砂災害に関する講義を基に、講師から提起された文章問題によるイメージ訓練と、図面を用いたシミュレーション訓練を行いました。
 図上演習の最後には、自主避難のタイミングや避難経路など、それぞれのグループにおける「とっさの判断」を発表しました。

『閉講式』
 修了証の授与、記念品の贈呈、閉講のあいさつにより、研修が修了しました。
 2日間にわたるこの研修会では、新たな知識や技能習得だけでなく、県内各地で自主防災活動に取組む方々の相互交流が図られました。今後は、参加者それぞれが、この2日間の研修成果を地域の自主防災活動に活用し、地域防災力の向上が図られることを期待します。

このページの上に戻る

沖縄県自主防災組織リーダー研修会及び沖縄県女性防火クラブ指導者研修会

沖縄県 知事公室防災危機管理課

 沖縄県では防災に関する知識、技能等を習得し、地域の防災意識向上や自主防災活動の活性化を図ることを目的に、(財)日本防火協会、沖縄県女性防火クラブ連絡協議会と沖縄県の共催で「平成23年度沖縄県自主防災組織リーダー研修会及び沖縄県女性防火クラブ指導者研修会」を以下のとおり開催しました。

【日程】平成23年10月19日(水)~20日(木)の2日間
【会場】沖縄県立糸満青少年の家
『防災気象情報の利活用について』
『防災気象情報の利活用について』
 沖縄県において初めての開催で、離島を含む県内各地から90名余りが受講、また関係機関からのオブザーバー参加を含めると約100名の参加がありました。

【内容】
『防災気象情報の利活用について』 講師:沖縄気象台予報課 連絡係長 福原 義通氏
 気象台が発表している気象情報の種類や内容、注意報や警報等の発令基準などを説明していただきました。また台風接近時や局地的大雨時などのしくみや情報の入手法方と利用方を実際に起こった事例を交えながらお話しいただき、理解を深めることができました。

『地震と津波について』
『地震と津波について』
『地震と津波について』 講師:沖縄気象台地震火山課 主任技術専門官 伊良皆 邦夫氏
 地震や津波発生のメカニズム、被害想定など東日本大震災や過去の災害を紹介しながら御講義をしていただきました。また沖縄県内における津波の過去の被害を例に、地震や津波から身を守るために必要なことを改めて確認しました。

『災害時の救助要請』 講師:指笛王国 垣花 譲二氏
 沖縄でなじみのある指笛を災害時等に活用出来るということで、自ら検証した効果を御講義していただきました。
災害時に活用出来る指笛を練習中
災害時に活用出来る指笛を練習中
 後半は吹き方の指導をしてもらい、短い時間の中で音が出るようになった人、頑張りすぎて酸欠状態になっている人など様々でしたが、参加者は皆真剣に取り組んでいました。

『阪神・淡路大震災の体験を語る』 講師:人と防災未来センター 語り部 菱江 幸子氏
 阪神・淡路大震災を経験した菱江氏に、震災時の状況やその時は口に出せなかった想い、避難所での生活、そして震災前の防災意識と震災後の取り組みなどをお話ししていただきました。ゆっくりとした口調のお話しは私たちの心に深く届き、日頃の備えの大切さや自主防災組織の意義などを再認識することができました。

『自主防災組織活動報告①』 講師:浦添市安波茶自主防災委員長 鈴木 伸章氏
『炊き出し訓練』
『炊き出し訓練』
 航空自衛隊の救難任務から得た経験やサバイバルの知識、福島県いわき市の実家で帰省中に経験した東日本大震災の様子、また御自身の自主防災組織の活動状況などについて報告していただきました。正しく豊富な知識を持って活動することが大切とのことでした。

『炊き出し訓練(備蓄について等)』 講師:沖電企業株式会社 岸本 義一郎氏
 災害等に備えて非常食を家庭に備蓄するための工夫や災害時においての食事のあり方などをお話ししていただきました。
 座学の後は非常時の炊き出しを想定して、その日の夕食を皆『自主防災活動報告②』
『自主防災活動報告②』
で作りました。不便な中での炊き出しに苦慮しつつも、協力し、知恵を出し合って完成させました。その甲斐あって質素な食事にもかかわらず食事時間は楽しい交流の時間になりました。

『自主防災活動報告②』 講師:糸満市西崎ニュータウン自治会自主防災会 副会長 古我知 進氏
 自治会においての平常時の取り組みや災害を想定して行う様々な訓練等を写真を交えて報告していただきました。また、これまでに乗り越えてきた問題や今後の課題等についても丁寧に説明していただき、これから自主防災組織を立ち上げようとしている参加者にも道筋が見えるような話でした。

瀧本准教授による講義
瀧本准教授による講義
『地域防災とまちづくり』 講師:山口大学大学院 瀧本 浩一准教授
 自分たちの地域にある既存のネットワークや諸活動を利用して、地域住民の防災意識の向上や持続可能な自主防災組織について紹介していただきました。先生の軽快でユーモアあふれるお話しに終始笑いが溢れながらも、多くの参加者が頭を悩ませている課題についてとても参考になる講義でした。

『災害図上訓練DIG』 講師:山口大学大学院 瀧本 浩一准教授/NPO法人ぼうぼうネット理事 岩本 憲治氏
 主に居住区域別にグループ分けを行い、地域に起こりうる災害を想定し図上訓練を行いました。瀧本先生から次々と出される課題や想定に、参加者は各グループ内で熱心に意見を出し合い、普段は気がつきにくい地域の弱点や強み、また災害発生時にとるべき対応などを共有することができました。

『災害図上訓練DIG』
『災害図上訓練DIG』
 最後に、主催者である(財)日本防火協会の佐藤幸男振興部課長より閉講の挨拶と修了証の授与、記念品の贈呈で全日程を終了しました。
 研修参加者に実施したアンケート結果において、各講義とも高い評価を得られました。参加者が、本研修で得た知識や技能等の成果をそれぞれの地域の自主防災の活動に活用し、地域の防災力向上が図られることを期待します。

このページの上に戻る
目次