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2012年7月

3.地域の連携による防災活動の活性化

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住民自らによる災害への備え

総務省消防庁 防災課

防災マップづくりの様子(出典:第16回防災まちづくり大賞)
防災マップづくりの様子
(出典:第16回防災まちづくり大賞)
 日本列島は、その位置、地形や気象などの自然条件から、地震、台風、集中豪雨などによる自然災害が発生しやすい環境にあります。
 平成23年は、未曾有の大災害となった東日本大震災をはじめ、台風第12号や台風第15号による大雨など、全国各地で大規模な自然災害による被害が発生しました。
 また現在、東海・東南海・南海地震、首都直下型地震などの発生が懸念されており、このような事態が発生すると、地震の揺れや津波などによって甚大な被害が広範囲に発生すると予測されています。
 大規模災害時には被害が大きくなればなる程、消防などの公的機関による消火、救助、救急などの活動が追いつかなくなることが想定されます。例えば大地震が発生し、消防車は全て出払い、がれきで道路が塞がれ、生き埋めになっている人や負傷者がたくさんいたら-そこで大きな役割を果たすのが、地域住民自らによる防災活動です。
 地域住民による防災組織として、自主防災組織があります。自主防災組織とは、「自分たちの地域は自分たちで守る」という自覚、連帯感に基づき、地域で住民が自主的に結成する組織のことで、平常時には防災訓練の実施、防災知識の普及啓発、災害危険箇所の点検、資器材の購入・点検等を行い、災害時においては初期消火、避難誘導、救出・救護、情報の収集・伝達、給食・給水、災害危険箇所の巡視などを行います。自主防災組織は、平成7年1月に発生した阪神・淡路大震災を契機に、その重要性が見直され、全国各地でその結成・育成が積極的に取り組まれてきました。

図 1 さまざまな関係機関との連携により期待できること
図 1 さまざまな関係機関との連携により期待できること
連携による活動の活性化
 地域の安心安全を守るために活動している自主防災組織が、地域の垣根を越えて互いに連携したり、消防団、学校、企業など、地域の様々な防災活動団体と連携し、お互いの得意分野を活かして補完し合うことで、地域の防災力をより高めることができるようになります。(図1)
 ここで、住民と行政が連携して防災のまちづくりを行っている福井県若狭町熊川区自主防災会の取組事例を紹介したいと思います。
 熊川区自主防災会は、地域の高齢者と歴史的な町並みを災害から守るため、町と共同で防災まちづくり計画を策定しました。計画の策定にあたり、防災マップづくりや、町歩きによる課題を発見し、解決策の検討を行うなど、まちづくりに防災を取り入れて、住民と行政が連携して取組を行っています。

 このように、普段から地域の関係団体と連携・協力関係を築き、地域における人的ネットワーク(つながり、結びつき)を広げ、地域コミュニティの強化を図ることが、いざという時に大きな力となります。
 自主防災組織については、消防庁が作成した「自主防災組織の手引」に詳しく記載しています。下記のURLからご覧になれますので、ぜひ参考にして下さい。
http://www.fdma.go.jp/html/life/bousai/bousai_2304.pdf

 災害時には、その地域に住んでいたり、働いていたりして、その地域をよく知っている人々の自主的な防災活動が必要不可欠です。皆さんも、自ら災害に備え、訓練や危険箇所の点検等、自主防災組織の活動に積極的に参加しましょう。

(総務省消防庁「消防の動き 2012年6月号より)

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