今年になっても、福岡⻄⽅沖地震、スマトラ沖地震、JR福知⼭線の事故と、災害・事故が相次いでおり、何かと⼼の落ち着かない年になっております。このたび、消防庁防災課⻑を拝命いたしましたが、こうした相次ぐ災害の中、重責に、⾝の引き締まる思いです。
この3⽉までは、愛媛県で勤務させていただきましたが、昨年は、愛媛県も相次ぐ台風の襲来で、26⼈の⽅がなくなられるとともに、多数の負傷者、被害が発⽣しましたが、多くの地域は、これまでほとんど災害のなかった地域で、もはや「安全神話」はないということを痛感いたしました。
先⽉、岩⼿県⽥⽼町で開催されました「地域安全学会」に参加させていただきました。何度も巨⼤な津波災害を経験され、「防災の町」を宣⾔されている同町での開催は、まことに感慨深いものがあります。地元の消防団の⽅が、「⽔門の閉鎖をすることとなったとき、津波の襲来による被害の軽減と、⾃分⾃⾝の⽣命とのことを考えると、⼤変悩む」とおっしゃっていたのが印象に残っております。地域は地域で守ると⾔うことが、広く⾔われておりますが、そのためには、それを⽀える⼈がおられることが前提であり、まさに地域の「住⺠」⼀⼈⼀⼈の⽅が、じっさいに⾏動されることが、それを実現する基本であると思います。先⽉のJR福知⼭線の事故の際は、すぐ近くの⼯場の⽅が、仕事を中断して、現地で救助に当たられるなど、地域の⽅々の災害への意識が減災につながるとも感じました。
災害が起こったとき、特に⼤規模な災害ときは、⾏政のみで、⼗分な対応はできませんが、そうしたとき、地域の⼒を強く感じますとともに、やはり、そのための備えが⽇頃からできていることがきわめて重要なことだと思います。
そのためにも、住⺠⼀⼈⼀⼈が、⾃覚を持って⾏動されるとともに、消防団、婦⼈防⽕クラブ、⾃主防災組織など、地域の住⺠の⽅々が組織的に活動することにより、地域の防災⼒を⾼めていくことが必要ですし、また、ボランティアの⽅々を含め、地域の防災、防⽕団体が連携しながら、総合⼒を発揮していくことが求められており、今後、地域の防災⼒を集結し、総合⼒を発揮できるよう創意⼯夫に努めて参る必要があると考えているところです。
皆様⽅におかれては、どうぞ、「地域防災の総結集」を合い⾔葉にそれぞれのお⽴場で、地域の防災⼒アップにご尽⼒いただければ幸いです。